誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

2人の新生活

(心菜side)

それから、1週間後の休日に新しいマンションに引越し2人の生活を始めた。

蓮さんはいつの間にか兄にも了承を貰っていて、私が後日連絡した時には既に知っていたから驚いたくらいだった。

兄からの話しでは、あれから何度か蓮さんと飲みに行って、親睦を深めていたらしい。

仕舞いには『あいつはすぐ心菜を甘やかすから、図に乗ってあんまり迷惑かけるなよ。』
と、妹の心配よりも蓮さんの心配をするほどだった。


「蓮さん、知らないうちに兄と仲良くなったんですね。」

内緒にされていたみたいで少し面白くない。

「どうした?焼きもちか?」
楽しそうな目を向けて来る蓮さんを睨む。

私に睨まれたところでまったく効果は無く、それどころか嬉しそうに笑っているだけだけど。

一緒に生活を始めて2週間。

今夜は珍しく、私より早く帰っていた蓮さんに迎え入れられて、呆気に取られながらも普段通り夕飯の支度を始める。

何か手伝おうかと、蓮さんもキッチンに来て手を洗い腕まくりをしている。

「何やれば良い?」
隣に並んで立つ蓮さんを見上げ、綺麗な長い指を見つめ怪我でもしたらと心配になる。

「心菜?野菜切れば良い?」

「えっと…お料理した事無いんだよね?大丈夫?」

「野菜ぐらい切れる。トマト切れば良いのか?」
トマトを持って率先して切ろうとする蓮さんの手元を心配の眼差しで見つめる。

意外と器用にヘタを取り綺麗に切り揃える。
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