誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

衝撃的な真実、そして別れ

お正月を迎え、2人で心菜の実家に帰省して祖父に挨拶を終え、正真正銘の恋人になった。

『結婚も見据えて真剣にお付き合いをさせて頂いています。』と、蓮は祖父と兄に告げるから、婚約者と言っても良いくらいだろう。


2月になっても都心はまだ、ハラハラと雪が舞うほど寒い日々が続いていた。

心菜は仕事帰りに、いつものように近くのスーパーに寄り夕飯の材料を買い込む。

朝、出かけに『今夜はすき焼きにしよう』と言うと、蓮が嬉しそうに『良いね!』と、言っていたから好きなんだなと察知した。

蓮は普段はクールであまり表情を変えない。
分かりにくい人だけど、一緒に暮らしているうちに気付く点も沢山ある。

本当に嬉しい時は遠くを見るように目を細めて笑う事。

何か心配事がある時は、やたらと甘くて、心菜の周りにまとわり付く様に離れない事。

凄く手先が器用で、1番覚えた料理は直ぐに作れる様になるし、洗濯物の畳み方も心菜の見様見真似で、今ではどっちが畳んだのか分からないくらいだ。

そう、蓮はスーパースターなのに家事を率先してやってくれる素晴らしい彼氏だったのだ。

世間からは未だに、俺様で威張っていて、マネージャーを顎で扱うような、酷いイメージを持たれているようだから、心菜としては辛いのだが…。

蓮自体はそれで良いのだと言う。

お陰でプライベートで声をかけられる事は少ないし、周りも腫れ物を扱う様に気を使われるのが、今は心地が良いからと。
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