誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「朝から、体調が悪そうだったから寝かせた。有休を取ったから問題ない。」
蓮は何食わぬ顔で淡々と話す。

何故?啓太は思いを巡らす。
彼は患者でここちゃんは看護師だ。
それ以上でもそれ以外でも無い筈…なのにどうして?

こんな所で無防備に寝ているんだ?

心菜の事は新入社員で入って来た時から、目をかけていた。
くるくるとよく変わる表情に、栗色の大きな瞳が印象的な子だった。

いつも穏やかで真面目に仕事に取り組む姿勢、彼女の全てに惹かれていた。
そして何より初心でスレて無い感じが気に入っていた。

好きになるのに時間は要らなかった。

ただ、誰かに先に掻っ攫われないかだけが心配だった。

だから、蓮が彼女を指名した聞いた時嫌な胸騒ぎを感じたのだ。
だけど相手は名の知れた有名人だ。下手に素人には手を出さ無いと思っていた。

今、目の前のこの、やたら容姿の整った男がライバルなのかと認識した途端、背中に嫌な汗が流れた。

「えっ…何でここで寝てるんですか?」
啓太は必死で打開策を探る。

「眠いからだろ。今にも倒れそうな顔色だったし、俺が許したんだから問題ない。
サッサとやるぞ。」

いつもは余りヤル気を見せ無い蓮が、今日は積極的な態度を示す。

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