誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

蓮、現る

(蓮side)
日本から10時間かけてLAの空港に降り立つ。

この4ヶ月、こんなにも死に物狂いで働いた事は無いと言うほど働いた。

アルバムのリリースが予定通り終わり、ホッとしたのも束の間、次は独立に向けて走り出す。

事務所との交渉を得て、スタッフ探しを始める。営業に、マネージメントに経理にと信頼できる人材探しは思いの他時間を費やした。

そして、何とか個人事務所を立ち上げる事1ヶ月。

その間に、母の手術があったり、父との今後に向けての話し合いを重ねたりと、多忙な毎日だった。

全てをクリアにして蓮はやっと、LA行きの飛行機に飛び乗る。

そして13時間を経て、降り立ったLAは暖かく眩しいほど良い天気だった。

心菜のいる場所まで後わずか。

乗機中の10時間をほとんど睡眠に充てたせいか、足取りも軽くタクシーに乗り込む。

今は朝の7時。
上手く行けば病院に出勤中の心菜に会えるかもしれない。

そう思うだけで心が満たされる気がする。

心菜とは、連絡手段が無いから突然の訪問になるが、本人と話が出来るまで根気良く粘るつもりだ。

今日泊まるホテルも予約していない。

行き先は心菜が居るであろう病院のみ。

持って来たバックは、いつもの仕事道具を入れたディバック1つだ。
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