誰にも言えない秘密の恋をしました （君にこの唄を捧ぐ）

蓮は外を見ながらキッシュを早々食べ終える。

周りはオフィスビルが立ち並び、この時間帯でもひっきりなしに、背広を着た男達がパラパラとカフェに入って来る。

『ハイ、ハンナ！今日はココはお休みかい？』
1人で入って来たサラリーマン風の男が心菜の名を口にした途端、反射的に蓮はその男に怪訝な目線を投げつける。

『ハイ、ジョージ。ココは今配達を頼んだの、帰りに買い物もお願いしたから、ちょっと遅くなっているのかも。』

2人はほぼ同時に外に目を向ける。
蓮もつられて外に目をやる。

1人で外出…よく行くのだろうか。

体調も悪いのに大丈夫なのか？
蓮はそう思うと居ても立っても居られず、立ち上がる。

すると、遠くにエプロン姿の黒髪の女性が歩いて来るのが目に止まる。

肩には何やら買い物をして来た荷物がかけられている。

心菜だ。と、瞬時に分かる。

大丈夫か⁉︎
重そうでは無いが、体調が悪いのに…と心配になり、無意識に足が店の外へと動く。