誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
少しの間2人抱き合い、これは現実だとお互い確認する。

「大丈夫?この後、働けるか?何なら俺が代わりに働こうか?」
蓮がハンカチで、頬に残る涙の後を拭いてくれる。

蓮さんが…?
涙を拭かれながら、フフッと心菜が笑顔を見せる。

「大丈夫、働けます。」

心菜は気持ちを切り替えるように、フゥーと息を吐く。
ふとカフェに目をやると、心配そうにハンナと常連客がこっちを見ている事に気付く。

恥ずかしい…みんなに見られてた。
急にまた、恥ずかしくなる。

「体調は、平気なのか?」
蓮はお構い無しに、心配症を露わにして、心菜の頬を撫ぜて来るから、

「れ、蓮さん…みんなが見てるから…。」
と、小さな声で告げる。

蓮はカフェの方に目を向け、再びにこやかな笑顔で手を振った。

ハンナと常連客達はそれぞれホッとした顔をして、2人に向けてパチパチと拍手して、賛美を讃えて店の中に入って行った。

「蓮さん…私、恥ずかしくてお店に戻れない…。」
心菜が顔を両手で覆って恥ずかしがる。

蓮は、ハハッと笑い飛ばし、
「大丈夫。俺も一緒に戻るから、揶揄われても守ってあげられる。」

そう言って、心菜の背中を優しく押してくれる。それだけで、凄く勇気が湧いて来るから不思議に思う。

そして2人で店に向かい歩きながら、心菜は蓮を見上げて言う。

「蓮さん、大好きです。私の事を探してくれてありがとう。」
と太陽のような笑顔を向けてくるから、蓮は驚き足を止めて心菜を見つめる。

「全部、許してくれるのか?」

「許してもらうのは私の方だよ…。」
心菜は困った顔を向ける。

「ごめん、心菜もう一度抱き締めさせて。」
そう言うと同時に、抱きしめられて額にキスをされる。

「ちょ、ちょっと蓮さん…みんなに見られるから。」
真っ赤になって心菜が訴える。

「そう、だから俺のだってマウント取っておいたんだ。」
蓮は爽やかに笑い、また心菜の背中を押しながら歩き出す。


蓮は思う。
俺の幸せはいつも心菜の側にある。

これからも彼女の為に曲を作り、彼女の為に生きるだろう。

誰よりも何よりも大切な愛しい人。

                fin.



※最後までお読み頂きありがとうございます。
続編も是非ご覧下さい。
2人のその後もお楽しみに。
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