誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「私もあなたの歌好きよ。本人に会ったらもっと好きになっちゃったわ。
陰ながら応援させていただくわね。」
そう言って、にこやかに田中師長は帰って行った。

この病院には心菜を大事に思っている人が沢山いる。それはひとえに彼女の持っている人間力のお陰なんだと思う。

そう思うと、蓮は身内でも無いのに勝手に1人安堵する。

俺が彼女に関わるのは後1週間程で終わる。その後は、綺麗さっぱり切らなければいけない。彼女の為にもそうするべきだ。

彼女を俺の人生に巻き込むべきでは無い。

住む世界が違いすぎる。

そう思うと何故だか虚しくなる。
心がぎゅっと鷲掴みされたように痛い。

心菜のあどけない寝顔を見ながら、
蓮はハァーと1人ため息を吐く。
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