誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
一階にあるコンビニへ降りると、数人の客が見える。
イートインコーナーには入院患者も含めてざっと10人程はいる。

大丈夫だろうか?
心菜は自分の事のようにドキドキしてしまう。

それなのに当の本人は涼しい顔で、カゴを取りどんどん買い物を始めてしまう。

心菜を振り返って手招きまでして来るから、慌てて駆け寄りカゴを奪おうとする。

「私がカゴを持ちます。これじゃどっちが患者か分からなくなります。」

「駄目だ、俺が持つ。外出はリハビリも兼ねてるんだから、患者を甘やかすな。」

蓮が最もらしい事を言うから、カゴに手出しできなくなってしまった。

「ほら、心菜は何が欲しいんだ。
ついでにお昼も買ってやるから。」

蓮がそう言って、コレか?ソッチか?と聞いて来る。

この3週間の間に、心菜の趣向は読めたらしくどれも好きな物で迷ってしまう。

このコンビニには、病院の食堂で食べられる焼き立てパンも売っていて、患者の中では密かに話題になっている。

「あっ、コレいつも完売のあんクリームパンだ。」
大人気の数量限定パンを見つけて、心菜のテンションが上がる。

それを聞いた蓮は片っ端からあんクリームパンを3個カゴに入れてしまう。
ちなみにさっき迷ってたサンドイッチも2つ入っている事に気付く。

「えっ?私1人でこんなに食べれませんよ。」
そう慌てて言うのに、

「俺も食べるから問題無い。」
と、カゴに入れる手を止めない。

それにしても多いんじゃ無い⁉︎
他のお客様の手前、目立つといけないからあまり大声は出せないし…と、心菜が1人バタバタしていると、やっと蓮は会計を目指してホッとする。

日頃からのストレスで爆買いしてるのかなぁ?
心菜は蓮の後ろを急いで着いて行く。

パンをビニール袋2つ分になるほど大量に買い占めてしまっている。

< 35 / 287 >

この作品をシェア

pagetop