誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
今朝も朝から頭痛と共に目が覚める。

寝付きが悪いせいで寝不足だからだと、自分に言い聞かせ無理やりベットから出て、毎日の日課であるランニングマシーンで一汗流す。

今日のスケジュールは何だったか…

10時から映画の楽曲についての打ち合わせ。12時にはイベントのポスター撮り。
16時からは歌番組のリハーサルのためスタジオ入り。20時に生放送の収録で21時半には明日のコンサートの為地方へ

雁字搦(がんじがら)めだな…

まぁ、今は隙間があると要らぬ事に思考が持っていかれるから、この方が気が楽だが、そろそろ限界がやって来る。

このツアーが終わるまで保てば良いが…。

蓮はそう思いながら痛み止めを飲み、マネージャーの迎えまでに、熱いシャワーを浴び身支度を整える。

朝ご飯はコーヒーだけ。
これは実家にいた頃から変わらない習慣だった。
蓮の実家は、地方では有名な建設会社を営んでいた。祖父の代で築き上げた会社は、父の代で業績を伸ばし、今や東京にも進出している。

兄弟はいない、跡継ぎは蓮だけだと、周囲の期待を一身に集めてきた。
そんな環境の中で育った為、ある意味聞き分けの良い大人びた子供だった。

引かれたレールから外れた時、父は必死で息子を探し出し、連れ戻そうと躍起になった。

しかし、見つけ出した時には既にデビューの話しが決まり、蓮を取り囲み計画が始動していたから、時既に遅く親はメンツを保つ為、1人息子を勘当した。

『帰る場所は無いと思え。』
最後に父から投げ捨てられた言葉だ。
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