誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
そうやって始まった慌ただしい1日をなんとかこなし、後は音楽番組の生放送だけとなる。

19時頃、楽屋に配られたら弁当を口にする。

たまには暖かい物が食べたいなと思いながら束の間の休憩を取る。

ふと病室で彼女と食べたカップ麺を思い出す。
病院食にいささか飽きてきた頃『絶対内緒ですよ。』と言いながら、買って来てくれたカップ麺が思いのほか美味しかった。

今、1番ハマってるカップ麺だと自信ありげな彼女が買って来たそれは、一見どこでもある醤油味の生麺タイプだった。

一生懸命力説する姿がとても可愛くて、可笑しくて、笑いながら食べた。

たまに母親のように俺の食生活を心配し、手作りの惣菜を差し入れしてくれる事もあった。

あの何でもない時間が、今となってはかけがえのない時間に思える。

朝からの頭痛は薬が切れるとまたぶり返した。これは一生続くのだろうかと未来に悲観しため息を吐く。
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