誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
買い物を終え、またさっきのベンチに戻る。

「頭痛はどうですか?ちょっと食べてお薬飲みますか?」

この驚きの展開に頭痛どころでは無いのだが、と心で思いながら言われるがまま、彼女の勧めてくれた肉まんを食べ、薬を飲む。

「私の家、病院のすぐ近くで電車で30分くらいです。あっ…電車なんて目立っちゃいますよね。タクシー拾いますか?」

「いや、電車で構わない。」

これは誰かが俺にくれた特別手当だ。

そう思えば葛藤していた心が軽くなる。
彼女の導くまま流されてみよう。

どうせ朝になったら別れる運命なのだから…。

そう思うと虚しくなったが、束の間の自由を楽しまなくては勿体無いと開き直る。

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