誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
こっち、と連れて行かれたお風呂場はまるで高級ホテルのように広く、ガラス張りのシャワーブースも付いていた。

全面にはガラス張りの窓があり、夜景がまるで壁紙のように見える。

心菜は驚き、固まり動けない。

そんな心菜を気にもしないで、
「タオルはここ。ドライヤーはここ。あと、着替えは…俺ので悪いけど。」

蓮は一通り説明して、

「寝るなよ。」
と、一喝して出て行った。

何なのこのお風呂…

豪華すぎるのも程がある。

心菜の頭はパニック状態だ。

だって、さっきまで忘れなくちゃって話してたばかりだ。
新しい恋をすれば忘れられるって、高山先輩が言って…。

恋だなんて…
思う事もおこがましいって思ってた人が…なぜ突然、目の前に現れたの?

なぜ、人生最大のピンチの時にタイミング良く現れたんだろう?

まだ、お酒のせいかはっきりしない頭で、
熱いシャワーを浴びる。

シャワーを終えて脱衣所に出る。

蓮が用意してくれた一式を見てまた驚く。
女性物の下着に歯ブラシまで一式ポーチの中に入っている。

こんな事はよくある事で、蓮さんにとっては大した事無いのかもしれない。

そう思うと無性に辛くなって、無理やり考える事を放棄し用意された服を着て、頭を軽く乾かして廊下に出る。
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