誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「わっ!」
廊下に出た途端、壁に寄りかかって腕を組んでいる蓮がいてびっくりする。

「髪、ちゃんと乾かす。」
そう言われ、洗面所に戻されて蓮が髪を乾かしてくれるから、また驚く。

「何だ?その顔。」
目を見開いて驚く心菜を、蓮は鏡越しで笑う。

「心菜だって、俺の手が使えない時に乾かしてくれただろ?借りは沢山あるから、これからじっくり返させてもらう。」

目をぱちぱちさせて、これは夢では無いかと心菜は思う。

あり得ない。だって…この人はスーパースターなのだ。
私なんかの髪を乾かさせていい人では無い。

「じ、自分でやります。」
慌ててドライヤーを奪おうとするのに、心菜の手の届かない高いところまで掲げてしまう。

「いいから大人しくして。もう、眠いだろ。早く寝るぞ。」
そうだよ…今、2時?もう3時!?

「蓮さん大変!早く寝てください。明日は?明日は何時ですか?」
心菜は今、目を覚ましたかのようにそう言う。

「明日は休みだ。気にするな。
寝たいだけ寝ればいい。」

ドライヤーを終えて、なぜか抱き上げられてさっきのベッドに寝かされる。

「心配だからとりあえず今夜はここで寝ろ。」
広いベッドはダブル…いやこれはクィーンサイズって言うのだろうか。

おまけに隣に蓮まで入って来る。

「!?」
驚き過ぎて声も出ない。

そんな心菜を蓮は面白そうに見て笑う。

「とりあえず寝るぞ。」
照明の照度を落とされて、大人しく眠るしか無い。

これは…夢だ、そうきっと夢を見てるんだよ…。

だってあり得ない。
あのタイミングで、蓮さんがたまたま通るなんて事…あるわけ無いよ。

確か…朝…テレビで…
歌番組に出演って言っていたのを聞いた。

心菜はそんな事をぐるぐると考えながらいつの間にか眠りに着く。
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