誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
朝、辺りが明るくなった気配を感じ心菜は目覚める。

目を開けると目の前に、

蓮の顔…。

まだ、夢を見てるのだろうか…。

「夢…?」
声に出して聞いてみる。

「夢じゃ無い。」
そう言って、心菜の頬に優しく触れてくる。
温かくて大きな手。

紛れも無くそれは蓮で…

急に意識がしっかりして心菜が、バッと起き上がる。
蓮は慌てて起き上がり心菜を抱き止める。

えっ!?蓮さんに抱きしめられてる!?
夢と一緒?

「だから…突然起きるな。頭に良く無い。」

あれ?これ夢の中でも聞いたような…。

「夢じゃ、ない?夜も?今も?」

「昨夜の事も、今も夢じゃ無い。」
抱きしめられたまま蓮が言う。

「何故?どうして?」
夢じゃ無いならなぜこんなに抱きしめられるんだろう?と、心菜は思う。

蓮さんは入院中いつも一線引いてるようなところがあった。

介助の為にどんなに近付いても、自分から触れて来るような事は無かったし、逆に意図なく触れてしまうと誤ってくるようなところがあったのに。

昨夜からなんだか知らない蓮を見てるようだ。

「心菜、大丈夫か?頭痛か?二日酔いか?」

急に黙ってしまった心菜を心配して、大きな手を額に当ててくる。
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