誰にも言えない秘密の恋をしました (君にこの唄を捧ぐ)
「いただききます。」
心菜は気持ちを切り替えて、手を合わせて、食べようとするのだが…
パンケーキやフレンチトースト、クロワッサンのサンドウィッチにオムレツにベーコンやサラダを盛ったワンプレートまである。
これって何人分?
どれに手をつけて良いのか分からなくて、思わず蓮を見る。
「好きな物を好きなだけ食べればいい。」
そんな食べ放題みたいな事を言われて心菜のテンションが上がる。
目の前にあるパンケーキを食べてみる。
お、美味しいー。
何このふわふわ感、じゅわじゅわっとした食感にバターと蜂蜜の丁度良い甘じょっぱい感じがたまらない。
どうやって作るんだろ?
心菜は夢中になって食べ進める。
すると、
ハハッと蓮が笑い出す。
なぜ笑ってるの?と、心菜が顔を上げる。
蓮は心菜を見て満面の笑みで笑っていた。
始めて見たそんな蓮を不思議そうに見つめてしまう。
「何を、笑ってるんですか?」
「美味しそうに食べるなぁと思って。」
蓮が目を細めて微笑み、そう言ってくる。
「こんなパンケーキ始めて食べました。蓮さんも食べてみてください。」
そう言ってつい勧めてしまうが、アッと思う。
雲の上の人に、なんて事を言ってるんだろう。そう心菜は思い、手を止める。
「何、くれないの?」
蓮が強引に手を出してお皿を持って行ってしまう。
「いやいや、私の食べかけなんて駄目です。
違うの、違うの食べて下さい。」
慌ててお皿を奪おうとするのに、スッと交わされ取っておいた残りをパクッと食べてしまう。
「確かに、パンケーキとは思えない柔らかさだな。」
うんうんと納得しながら蓮が言う。
心菜は、全部食べられたのと、何となく申し訳ないのとで、どう反応して良いか困り俯く。