麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?
二階堂夫婦の新婚生活
朝、目覚めると隣で最愛の人が眠っている。
これ以上幸せなことって、この世にあるのだろうか?
朝、五時半。
夜明けとともに起床した二階堂櫻子は、夫である暁成を起こさぬようダブルベットからそっと抜け出した。
薄暗い室内、カーテンの隙間から溢れる朝日に照らされる最愛の夫の寝顔に、櫻子は思わずきゅんっと胸をときめかせる。
結婚してから――いや、結婚する前から櫻子は暁成を見るだけで胸が高鳴る特殊な体質になってしまった。
(寝ているだけなのに、なんでこんなに素敵なのかしら……?)
自慢の夫は無防備な寝顔すら、息を呑むほどに整っていた。
櫻子とは四歳違いの三十二歳。
センター分けの少し癖のある黒髪。ホリの深い凛々しい顔立ち。
意志の強そうな眉。前髪からのぞく切れ長の瞳。
そして、爽やかな甘いマスクとはアンバランスの男らしい喉仏。
そのどれもが櫻子のハートを狙い撃ちする。
櫻子は次第にいてもたってもいられず、もじもじと身体を捩った。
愛しさがじわじわと膨らんでいき、心がそわそわと浮きたっていくのがわかる。