麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?

「子供は?子供は作らないつもり?」
「それは……」
「『子はかすがい』という言葉があるくらいだ。励んでいるんだろうね?」

 さすがの櫻子もこれには言葉を詰まらせた。
 夜の生活のあれこれを義母に対して口にするのは、はばかられた。

「しっかりしなさい!子供がいないんじゃ離婚を切り出されても文句を言えないからね!」

 その後も義母の話は長く続いた。
 最近の若者の話。政治の話。自分の夫である暁成の父の話。
 持論を展開する義母の話は、ところどころ辻褄が合わなかったり、論理が破綻している箇所も多かった。
 しばらくすると満足したのか、ようやく重い腰を上げた。

「そろそろ帰ろうかしら。お手洗いはどこ?」
「扉を出て右です」

 義母がリビングを出ていくと、櫻子はうーんと首を傾げた。

(今日はどうしたのかしら?)

 義母が当然訪問してくることはよくあるが、暁成が不在だというのにこんなに長居するのは珍しい。
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