麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?
二階堂夫婦の偏愛

 出張への同行を取りやめた櫻子は、仮病を使って休むつもりだった出張二日目も出社した。
 片付けておいた自分の仕事の代わりに弓塚の仕事を手伝うことにした。

「櫻子さん、助かります~!」
「……いいのよ」

 弓塚に感謝されようとも、櫻子はどこかうわの空だった。
 頭の中は暁成のことばかりだ。

「もしかして……部長のことでも考えてました?」
「弓塚さんって、なんでもお見通しなのね」

 櫻子は飛行機をキャンセルしたことを早くも後悔していた。
 暁成と同じ気持ちを共有するためとはいえ、ライフワークを一時的に奪われた喪失感に喘いでいる。

「たったの二泊三日なのに、なんだか調子が狂ってしまって……」
「あの櫻子さんが!?」
「そんなに驚くこと?」

 弓塚は俄然、前のめりになった。

「だって!あの!いつも冷静で!完璧な櫻子さんが!部長に会えないだけで、調子を崩すなんて……!これって愛ですよ!」
「そ、そう……?」

 迫力に押され戸惑っていると、弓塚から手をぎゅっと握られた。
 
「会えない時間が愛を育てるって言葉もあるくらいです。部長がお戻りになったらたっぷりイチャイチャしてください!」
「え、ええ……」

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