麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?
「暁成さん……?」
「実は……少し不安だったんだ。結婚したことで君の”愛情”が薄れてしまったんじゃないかって……。以前の櫻子なら絶対に出張についてきてくれただろう?」
櫻子は弾かれたように暁成を仰ぎ見た。
「愛情が薄れるなんて、絶対ないわ!」
「じゃあ、どうして?」
「貴方が寂しい思いをしているのに、私だけ楽しい思いをするのもどうかと思って……」
「僕のことは気にしなくていいんだよ。櫻子は好きなようにすればいい」
暁成は真っ直ぐ櫻子の瞳を見つめ、頬を撫で包んだ。
好きなようにしていいと言われて安心した。
お墨付きをもらい次回こそはなんの躊躇なくついていける。
「本当のことを言うとね、出がけにお義母さまがいらっしゃったの。それで、飛行機に乗り遅れてしまって……」
「母さんが?」
「お義母さま、ご友人にお孫さんが生まれて焦ってらっしゃるの」
義母本人はSNSの類を一切していないが、その友人の何人かは私生活を赤裸々に発信している人がいる。
義母の訪問に裏がありそうだと、いつものようにご友人のSNSを巡回していたらすぐにわかった。
幸せそうな孫の誕生報告に、義母が対抗心を燃やすことは簡単に想像できた。