麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?

「寂しいかい?」

 暁成は櫻子の心情を見透かすように微笑んだ。

(ズルい人……!)

 しかし、悔しいことに暁成の考え通りなのだ。ここはあえて、のせられてやる。
 
「ええ、寂しいわ。でも、我慢します。仕事ですもの……」

 櫻子は寂しさを押し殺し、ツーンと澄まして答えた。
 自分だけが寂しいと思っているようで、悔しかったのだ。

「機嫌を直して、櫻子……」

 暁成は櫻子の柔腰を抱き、近くに引き寄せた。
 そして、いじらしい新妻の唇を己のもので塞いだ。
 呼吸を封じるように舌が絡め取られ、甘ったるい声と、熱い吐息がもれていく。
 朝とは思えないほどの、濃厚な口づけに櫻子は震えた。
 暁成は櫻子の頬にかかる髪を手で払い、顔を幾度も傾けた。
 昨日も散々櫻子を蕩けさせた暁成のキス。
 暁成は最後に新妻の艶やかな髪を撫で、華奢な身体を抱きしめた。
 
「お土産を沢山持って帰って来るよ」
「楽しみに待ってます……」

 夫の抱擁に胸に温かいものが広がっていく。
 暁成にとって、櫻子の機嫌をとるのは造作もないことだった。

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