スノードロップ
こんなため息つくくらいなら断れば良かったけどな、と思いながら、ドアのベルをならして外へでる。思っていたよりも寒かった。

彼氏って大変だな。嫌だな、断りたかった。

僕にはできなかった。彼氏がそう言うものだと、教えてくれたのは彼女だから。

車を運転して彼女のいる店へ向かう。

フランス料理店だ。

高そうだなあ、僕のお金を持っていって。タンスにしまった金から、十万ほど抜かれていた。

まあ、いいんだ。

普通なんだよね。彼氏だから。

車を走らせる。意外に遠かった。

暗い夜道、でも明るかった。

店の鮮やかな光が町中を照らしていた。

橋がレインボーに光っていた。

僕は見たくなかった。

彼女を思い浮かべてしまいそうだ。

2人でいつかドライブした、あのきれいな虹色の橋を。

そして今の、彼女の明るい髪色を。
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