スノードロップ
もう一度だって叶わないのに妄想ばっかり巡らせる。

この部屋には僕一人。

手にしていた、彼女の好きなパスタの本。

カルボナーラが大好きだった。

愛犬のトイプードルと一緒にカルボナーラを食べている彼女は綺麗でかわいかった。

いつもに増して。

もう一度、僕はその笑顔をみたい。輝く笑顔を。

作ろう、かな。

やっぱいいか。

多分明日になったらゴミ箱のなかなんだ。

前も同じように彼女の好きなものを作った。

その前がカルボナーラだったから、変えようと思った。

キーマカレーだったはずだ。その日は彼女の誕生日だったから、しっかりスパイスから、腕によりをかけて作った。

捨てられた。

独りで食べるキーマカレーは、彼女と食べるより美味しかったのかもしれない。
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