才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ

コンコンとノックの音がして、俺は急いでドアを開けた。


「終わったー」



凛華先輩は首を回しながら部屋に入ってきた。



俺はコートをクローゼットから出して財布とスマホをポケットに入れる。



「ねぇ、私今日マフラー忘れて来ちゃったの、貸してほしい」



「いいっすけど色がダークですけどいいんですか?」



「うん、寒いよりいいー、せっかく首のリンパ流してもらったのに冷やしたくない」



オイルで先輩の肌はツルツルだ。



「はい、どうぞ」



グレーのマフラーを渡した。



「今日の朝、暖かかったから忘れちゃったんだよね」



俺はテレビを切った。



「お腹空いた、行こー」


「はい」


「お邪魔しました」



「はーい、行ってらっしゃい、響、ちゃんと送っていくのよ」


「当たり前だし!」



先輩と行くのは帰り道にあるファミレスがほとんどだ。



別の駅にわざわざ行ってまではご飯には行かない。



ドリンクバーにして結構ゆっくり食べる。



綺麗な食べ方をするので育ちがいいのかなと思わせる。



「今日……」


「はい」


「軽く筋肉痛になってた」



「俺も少しだけ腕が筋肉痛です」


「自分では力いれてないつもりだけど、やっぱり試合って次の日にくるね」



「俺、夏の終わりの大会が初めての大会だったからあの時の方が疲れて夜マッサージしてもらいましたね」



「いいなぁ、あんな気持ちいいマッサージが家で受けれるなんて」



「俺、先輩のマッサージ、全然するんで……」



「すけべ(笑)」


「いや、ちゃんと押さえます」



「どこを?」



「えーと色んなとこ」



先輩は笑っていた。

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