才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ

「まあ、練習熱心なのはいいんじゃない?」


部長が言う。


「そういうんじゃないでしょ、愛菜のいない時にさあ」


「でも、愛菜が休むのも…でしょ?体調不良とかじゃないんだし」



それはそうだけど……



「帰る!」


凛華はなんとなくおもしろくなくて部室を後にした。


「お疲れ様でした」



はぁ……相馬くんが愛菜だけしか見てないのをどうして気づかないんだろうな~。



凛華は一年の頃から理久斗を見てきたからよくわかる。



相馬くんは背が高いから目立つんだよね。



でもすぐに愛菜の事をじっと見ていた。



一目惚れってこういうもんなんだーって思ってたんだ。



愛菜を見てるから一緒にいる私まで見られているようで、何か意識しちゃったし、さりげなく二人で話せるように話しもふってあげたり、私も陰ながら協力してて、やっと上手くいったのに邪魔しないでよね!




もうー!


ん?いつもなら後ろから走ってくる足音が聞こえるはず……



校門まで来てもあいつの呼ぶ声がしない。



凛華は一度足を止めた。



振り向くと弓道部の一年生が遠くから歩いてきている。



男子で何か話をしてるのかなとそのまま駅に向かった。




その頃男子の部室では理久斗が延長することを話していた。



「理久斗先輩、それ愛菜先輩がいないから絶対狙われてますよ」




「響…うーん、教えてくれと頼まれたから今さら帰るわけにも……」




「俺がついてましょうか?」



「響が?」



「誰かいたらせまってこないと思うんで」



「せまるなんて、僕には愛菜がいるのを知ってるのに不思議だなぁ」



「ちょっとでも近づきたいんすよ、好きな人には……、だってカップルなんていつ別れるか、くっつくかわかんないんですから」



「周りから見るとそう見えるのかなぁ……」

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