才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
弓道場に戻ると女子二人が待っていた。
「ちょ、何で本堂くんがいるのよ」
「理久斗先輩が延長するっていうから俺も指導してもらおうと思ってー、あれ?邪魔だったすか?」
「べ、別に」
紗英が理久斗に先に教えてもらう……
「フォームは乱れてる?」
「そうだね、右手をもっと引いて……」
「くっ、きついかも」
「あぁ、そうか、筋力がないんだね」
紗英は小柄な体格だ。
筋力をつけるか、フォームを変えるかじゃないと的中率は悪くなるかも、一年生を見ることはあっても同じ二年生を見ることはあまりないからな。
力のない人は少し上気味に構えて山なりに的に当てる方法もある。
「ちょっと待ってて」
理久斗は道具室に入っていく。
何本か部の用具がある中から1本持ってきた。
「これで射ってみて、あ、響はまた癖が出てるぞ、意識して直せ」
「うすっ」
紗英は射ってみた。
「どう?」
「握る細さが違うのね」
「道具屋さんが来たときに何か言われなかった?」
「練習して筋肉がついたらこれでって言われたけど」
「うん、筋肉がついてないからだと思う、次の県大会に団体で出場したいならこっちを使ったほうがいいよ、愛菜と坂下さんと部長以外、残りの二枠に入りたいならね」
「わかったこれで練習してみる、ありがとう」
美鈴は理久斗が紗英を見ている間もどんどん射っていた。
「矢取り入りまーす」と自分の打った矢を取りに行く。
声がかかると危ないので射ってはいけない。