才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ

「まったく、早いんだよ、一人で射ってるんじゃないんだからさー」


響は構えていたのをおろした。



矢取りを終えて美鈴が戻ってくる。



「最近当たるようになってから射つのが楽しくて、たくさん射って経験積むのも必要なんじゃない?」




「それはちょっと違うよ」



「先輩…」



「早気って言葉を知ってる?」



「聞いたことあります、確かアニメでも」



「弓道では早気って独自の言葉があるんだけど、ひどい人は弓道自体をやめてしまう人もいる」



「……はい」



「君はまだ一年生でこの前の新人戦も個人戦しか出ていないけど、こういう射ちかたをしていると団体戦に大きな影響を与えるんだ」



「私…グスン…たくさん射った方が上手くなると思ってて……」



「お前、それくらいで泣くなよなー」



「たくさん射つのは必要でもあるけど、早く射てばいいというわけでもない、僕らの部活中に休憩があるのも意味があるんだよ」



「私…だから相馬先輩に教えて欲しくてー」



「呼吸と集中力が大事だから女子の先輩にも出来る人はいるよ、聞いてみるといい」



美鈴は紗英を見た。



「私は下手だから……」




「でも団体戦に入れてるんだから下手ではないよ(笑)」



「でも次が……」



「ちゃんと先生も考えて選んでるんだから悩みは女子同士で話した方がいいと思うよ、僕はただ年数がみんなより長いだけだからね」




「俺は理久斗先輩に教えてもらうっす」


「まあ男子はやっぱり責任があるからな(笑)」

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