才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
「愛菜先輩、髪!?」
「どうしたんですか?」
「何でお休みだったんですか?」
次々と後輩達が寄ってくる。
「ほら、一年は準備して」
部長の声で道場に準備をしに向かった。
「愛菜も休んでた分しっかり集中してよね」
「あ、うん」
部長の秋枝(あきえ)はそう言うと部室を出た。
着替えて凛華と道場に向かう。
「愛菜、どうしたの?」
「ううん、ちょっと秋枝の様子が何かいつもと……気のせいかな」
「気のせいじゃない?」
そっか……ならいいけど。
「相馬くん!」と秋枝が部室から来ていた理久斗に向かって走っていった。
凛華と目が合った。
「何か用事でもあったんでしょ」
凛華はそう言ってくれた。
部長の秋枝はおとなしい子で男子ともあまり話さないのだ。
愛菜もそんなに話すほうではなかったが、りっくんが話しかけてくれて男子とも話せるようになったけど、休憩の時も一人で黙々とフォームを直したり、あまり人の輪の中には進んでは入ってこない。
実力は女子では一番上手くて先生に指名をされて部長を仕方なくしている感じだ。
だから少し遠くにいた理久斗を声を張って呼んだのが二人には意外だったのだ。
今日は顧問の先生がすぐ来て冬休みの部活の予定を配ってくれた。
りっくんとはまだ話せていない。
ちらっと男子の方を見ても目が合わない。
もうすぐ休憩に入る時間が近づいてくると思っていたら、部長と道場を出て行ってしまった。
交代で休憩に入ってくれと今日は先生がみんなに告げる。