才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
世間話をしながら飲み物コーナーでお互い買うものを選んでいると咲優のスマホが鳴った。
「ん?お母さんの職場からだ」
はい、はいと返事をしていると咲優は理久斗の腕を掴んだ。
震えている。
電話を切ると「どうしよう……」と不安な顔をしていた。
落ち着いてと久しぶりに咲優の肩をなでた。
咲優ってこんなに華奢だったっけ……
話を聞くと咲優のお母さんが仕事中に救急搬送されたということだった。
「咲優、タクシー代持ってる?」
咲優は首を横に振った。
「おろさないと、でも家に通帳とカードがあるから」
「じゃあ、一度家に帰ろう」
僕は咲優の手を無意識に繋いで咲優の家に向かった。
咲優が家の鍵を開けて部屋から銀行のカードをカバンにいれる。
「ほ、他に何かいるかな?」
「とりあえず一度状態を知らないと」
「う、うん…」
咲優は昔から寂しがりやだった。
お母さんが夜勤の時は大体連絡がきていたのも寂しいからとわかっていて僕も付き合っていた。
「行きは僕が出すからタクシー呼ぶよ?」
「う、うん」
行きは多分持ち金で足りるだろうと思っていたが、なんせ今は家族がいない……
とりあえず行って容態を確認しなければと思っていた。