才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
「先輩、怒ってます?」
「ううん、迷子の子を届けたんでしょ?」
「はい」
「偉いじゃん、別に怒ってないよ、ただどの乗り物を優先しようかなって考えてたのよ…観覧車をやめようかな~」
「えー、それ俺が乗りたいものって言ってたやつじゃん」
「ふふっ」
凛華は足早に歩いていく。
いつものように後ろからついていく。
「え!」
観覧車の前に来ていた。
「急いで走り回って疲れたでしょ、ちょっと休憩させてあげる(笑)」
「いいんすか?」
「うん、時間があったらまた最後にもう一度乗ればいいでしょ?」
いってらっしゃいませと言われて静かな密室になった。
「あー、時間が止まって欲しいっす」
「何で?」
「凛華先輩とこんな狭い空間にいられるんすよ?」
「変なの、時間が進まないともっと楽しい事があるかもしれないじゃない」
「それはそうですけど……今日楽しいし……終わって欲しくない……」
本堂くんはそっぽを向いた。
「ふーん、そっか……」
本堂くんはそれから観覧車が終わるまで何かを考えているようだった。
観覧車のドアが開くと先に本堂くんが出て、手を差しのべてくれた。
「ありがとう」
階段を降りるまで手を繋いだ。