才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
理久斗は遠くから見ているので顔があまり見えなかった。
しばらく回っていると観客の会話からお兄さんという事がわかった。
家族と一緒とあって愛菜はきっと安心しているだろう。
多分前の方にはお母さんもついて回っているだろうし
後半に入ると愛菜はおにぎりを頬張っていた。
自分で梅干しのおにぎりを作ると聞いていた。
りっくんと最初に作ったおにぎりが私の活力だよと言ってくれる。
でも……こんなにたくさんの観客の中の愛菜は僕の彼女でいいんだろうかと初めて回ってみて思った。
もし僕が愛菜の邪魔になっていたら……
好きだけでは守れないんじゃないだろうか、合わせれる方がなんて愛菜には言ったけど、記念日や誕生日を祝えないことを愛菜は謝っている……
愛菜の大事な時に僕の存在は……邪魔?
理久斗は涙が出てきた……
しばらく…離れた…方が……理久斗は気がつくと観客の一番最後を歩いていた。
愛菜の試合を見たくて来たのに、僕の出来ることは…ない…のか?
しばらく足を止めて涙を拭った。
突然後ろから肩を組まれた。
「泣くのは早くね?」
「中澤くん?」
どうやらトイレから出てきたようだった。
「な、何でここに?」
「愛菜に優勝のチャンスがあるって聞いて見に来たんだよ」