才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
最終ホールにやってきた。
たくさんの人混みの中、愛菜はバーディーを決めて初優勝となり凄い歓声があがった。
観客は前に前に行くが理久斗は逆に下がって終わるのを待とうと思った。
どうしてもお祝いは言いたかった。
しばらくするとインタビューが聞こえてきた。
「初優勝で三木プロ、お兄さんのキャディーでしたね」
「はい、今日は大事な人の誕生日で、大切な記念日なので兄にキャディーを頼みました、引き受けてくれてびっくりしましたけど(笑)」
「ご家族の誰かの誕生日ですか?」
「違います、ふふっ、ご想像におまかせしますね」
理久斗はクラブハウスの入り口辺りに来ていた。
ここにいれば会えるかな……
愛菜を見ている後ろ姿のお兄さんとお母さん、中澤くんがいた。
拍手が段々近づいてきて愛菜がトロフィーをお母さんに渡すと僕に気づいて走ってきた。
「えっ!?」
愛菜が僕の首に抱きついてきた。
「お、おめでとう、愛菜」
「来てくれてありがとう、やったよ、りっくん!」
周りは拍手をくれているが注目の的だ。
「みんな見てるよ」
「いいよ、ぎゅーして」
理久斗は愛菜の背中に腕を回した。
カメラのシャッター音が聞こえる。
「愛菜、僕は愛菜の傍にいてもいいのかな?」
「もちろんだよ、りっくんがいなかったらだめだよ、記念日に勝ちたかったの、誕生日おめでとう、りっくん」
「ありがとう…これからもよろしく」
理久斗は泣いていた……