才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ

K高が打ち終わると1年生が的の裏に回り2年生が放った矢を最後に回収してくる。

5人ずつ少しずらして決まった時間内に打たなければならない弓道は集中力がすごくいる。


愛菜は4本打って後ろに下がった。

少し痛みを感じて愛菜は自分の手を見た。

「愛菜」


理久斗くんが話しかけてくる。

男子の方を見るとK高が練習していた。


「今、親指擦れただろ」

「何でわかるの!?」

「顔が……痛そうにしかめてた」


「はぁ、よく見てるね」


左手の親指を理久斗に見せる。

「出血はしてないみたいだね」

「うん、皮が剥けただけ、大丈夫よ、ありがとう」

「1度抜けてカットバンでも貼って保護布でもしておくといいよ」

「うん」

どうしても矢を放つ時に左手の親指を擦ることがある。

自分のフォームの癖が中々直らない。


愛菜は凛華に保護布巻いてくると言って列から離れた。


1年生に救急箱をもってきてもらい、隅の方で絆創膏と布を当てた。

力入りすぎかなぁ……


「こんにちは」


顔を上げると理久斗くんと話をしていたK高の部長が立っていた。


「K高の大家です」

「三木です」

「親指大丈夫?」

「あ、はい、大丈夫です」


「三木さんは高校から始めたの?」


「はい」


「ちょっと見た感じだけど少し引手が低いようだね、矢には羽があるからさ」


「そうですね、中々直らなくて…ありがとうございます」

自分でも解ってるアドバイスをくれたのだが、それが直らないから苦労している。

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