才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
お邪魔します
うちのA学園の文化祭は10月の終わりの週の金曜日と土曜日に開催される。
金曜日は学校内の人達で土曜日は一般参加もOKだった。
弓道部は一般の日に矢を引ける体験を毎年行っていて2年は交代で当番がある。
「2日目の当番……一緒がいいな」
僕が言うと愛菜は頷いた。
「女子は毎年くじ引きみたいなんだよね」
「そっか、運か」
それだけ話すとベンチで軽くハグをして帰った。
次の日の日曜日は午前中の練習で部活終わりに門で待っていると、いつも自転車を押してくる愛菜が小走りで走ってきた。
「ごめん、待ったでしょ」
ハァハァと軽く息をきらしている。
「ちょっと遅いなと思ったけど自転車は?」
「鍵が無くて……リュックの中を探してたんだけど見つからないの、どうしよう、落としたのかな」
いつも冷静な愛菜が焦っているのを初めて見た。
「弓道場までの道に落ちてないか行ってみようか」
「ごめん」
「ん、いいよ、一緒に探そう」
僕達はもう一度弓道場に戻った。
「無いなぁ、部室も見てみる?」
「うん、部室の鍵借りてくる」
愛菜は走って取りに行った。
今日は人が少ないから校内なら部活の人が拾ってくれるかくらいしか考えられないんだが……
部室の鍵を持ってきて「ごめんね」と謝る愛菜。
「いいよ、ゆっくり探しな」と声をかける。
10分ほど過ぎただろうか……あきらかに顔が暗い。