才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ

「なかった?」

「うん……」

「もう一度自転車置き場まで探してからバスで帰る?」


「うん……」


愛菜は朝から雨が降っている時はバスで登校する時もあるから帰れない事はないんだけど……


凄く落ち込んでいる。



「帰ってスペアキーがあるか見てみるわ」


「うん、そうしよう」


僕は愛菜の肩をポンポンと軽く叩いて、大丈夫、見つかるよと声をかけた。


僕達は門を出た。


「公園どうする?」


「今日は帰る……」


やっぱり凄く落ち込んでいる愛菜だ。



公園に寄らずにバス停がある大きな道路に出る道を歩く。



僕はスマホを出して調べた。



「愛菜、自転車の型番とかわかったらスペアキー作れるみたいだよ」


「スペア……あ、ありがと」


歩いていると雲行きが怪しくなってきて突然の雨、ゲリラ豪雨だ……



あっという間に服はびしょびしょ……


「愛菜、家に寄りなよ」



このままじゃずっと愛菜は落ち込んでいるような気がした。


ここは愛菜を笑顔にしないと。



「え?大丈夫よバス停まで走る」


「僕が嫌だから……そんな格好見られたくないよ」


まだ半袖ブラウス1枚の制服は濡れて愛菜の体のラインをくっきり出していた。



「あ……」


「ゲリラ豪雨だから落ち着くまでおいで」



愛菜の手を繋いで歩く。



もうここまで濡れたし走って転げるのも嫌だ。



愛菜は手を繋いだまま何も言わず付いてきてくれた。

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