才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
たまに僕から電話しても出なくて、寝てたと朝にLINEが入る。
完全なすれ違いだ。
まあ、中々盛大な迷路を作ってるらしいから忙しいよな。
僕らのクラスはカフェの希望は通らず、美術部の展示品を飾ることになったのだ。
文化祭の前日にやっと愛菜は部活に出ていて久しぶりに一緒に帰ることができた。
「公園寄る?」
「うん」
ベンチに座った。
「寒くない?」と理久斗は声をかける。
「大丈夫」
理久斗は愛菜の手を握った。
「久しぶりだ、愛菜に触れるの(笑)でも僕の手が冷たいね、ごめん」
そう言うと手を離してしまった。
自分の中で勝手に距離を取ってしまった。
「何で繋いだばっかりなのに離すの?」
「愛菜の温かい手が冷たくなるだろ?」
理久斗くんはこういう優しい事を言うんだから……
「違うよ、理久斗くん」
愛菜は理久斗の手を両手で持った。
「お互い様でしょ、理久斗くんの手が冷たかったら私が温める」
えっ?理久斗はびっくりした。
「……愛菜……ち、ちょっと待って涙が……出そう」
繋いでいない方の手で目頭を押さえている。
鼻をすする音がする。
「どうして泣くの?」
「……嬉しくて……ぐすっ、ちょっと不安だったんだ、長い時間他の男子もいる訳だし、僕の事忘れられてたらと一瞬頭によぎったり、愛菜の事を信じてない訳じゃないんだけど」
「忙しかったのは本当にごめん、設計ミスで作り直したりしてたからいっぱいいっぱいだった。理久斗くんが怒っても仕方ないと思う」