才色兼備で高嶺の花の彼女を溺愛したいんだ
その日の部活の休憩時間に相馬くんにお礼をしようと思い自販機に行こうとちょっと緊張しながら誘った。
愛菜は見た目とは違って凄く恥ずかしがり屋だ。
勇気を出して相馬くんを誘ったのも同じ弓道部で仲が良い坂下凛華(さかしたりんか)がよく気づいてくれたね、相馬くんにジュースでも奢ったら?お水くれたんでしょ?と言ったからだ。
「凛華も一緒に来てよー」
「そのくらい1人で言いなよ」
「恥ずかしいの知ってるくせに……」
「知ってるけど昨日の事は相馬くんと愛菜のやり取りなんだから……お礼にって奢っておけば貸し借り無しになるでしょ」
「それはそうだけど……」
確かに、着替えてる間に走ってお水を買って来てくれたのよね、汗をかいてたし、そこは感謝なんだけど、他の男子もいるし、うぅ……やっぱり恥ずかしい……
部活の休憩時間になった。
愛菜は「昨日のお礼に」と少し頬を赤らめて理久斗を誘うと「別にいいのに」と言いながらついてきてくれた。
弓道場は学校の端にあってグランド周りを歩かないと自販機がない。
当然ネットは張ってあるけど、しばらく歩いていると私の身体をくるっと移動させたかと思うとネットにサッカーボールが当たってきた。
さりげなく場所を代わってくれて自分がネット側に行ったのだ。
優しい……
私はその行動に少しキュンとして頬を赤らめた。
するとまた相馬くんの手が頬に……
「ん、大丈夫そうだね、赤いと思ったけど、良かった」
「大丈夫よ」
恥ずかしくて下を向いた。
特にそれから会話もなく自販機に到着した。