淡い秘め事
久しぶりの休日、結愛と一緒に過ごす夜はとても楽しかった。
ベットに入り、小さなスマホ1つでアニメや動画を一緒に見る時間は至福だ。
甘えたがりな結愛は時々、俺に腕を絡めてくる。
「なんだよ。甘えん坊」
「えへへ、たまにはいいじゃん」
結愛のあどけない笑顔が俺をどきどきさせる。
その表情とは裏腹に、結愛の身体は少しずつ大人に近づいているように思えた。
夜が深まるにつれて、結愛は寂しそうな顔をする。
きっと、明日から俺が仕事や学校で忙しくなることを思い出しているんだろう。
でも、これでいい。
結愛とこれ以上長い時間一緒にいたら、俺の無茶苦茶な感情を結愛にぶつけて、傷つけてしまいそうだから。
結愛には結愛の幸せを見つけてほしいと同時に、ずっとこの部屋で俺の帰りを待っていてほしいと願ってしまう。
これは俺のわがままだ。
だから、こんなこと結愛には言わない。
寂しそうな顔をした結愛をからかって、「ごめん、ごめん」と言いながら手を握る。
しばらく頭を撫でていると、結愛はすやすやと寝息を立て始めた。
学校から帰ってすぐに夕飯の支度をしたから疲れてしまったんだろう。
「好きだよ、結愛」
そう言って、甘い香りがする髪にキスをした。
結愛がいなくなってしまったら、この先、俺はどうなってしまうんだろう。
本当はずっとこのままがいい。
このまま2人だけの世界で。