冷たいアイツの食べ方 (短)
「何か用がおありですか?」
「……ある、って言ったらどうする?」
「聞きます。私はメイドですから」
「あっそ。じゃあ――こっち来て」
「え、あ!」
グイッ
繋がっていた手を、俺へと引っ張る。まさかの自体に、冬田は簡単に俺の胸に飛び込んだ。
ん!?――とでも思っているのか、両目が開いている。冬田の動揺、捉えたぞ。そして冬田自身も捕らえた。俺はがっちり、冬田を抱きしめる。
「あの坊っちゃま、暑いです」
「おい、この状況で開口一番それはやめろ。ムードに欠ける」
「必要ない物は削ぎ落とすまでです」
「容赦ねぇな……はぁ」
「ため息も必要ありません」
険しい顔で、冬田が俺見る。俺も、黙って見返した。
黒い綺麗な髪。メガネよりも丸っこい大きな目。ぷっくりとした形のいい唇。どれをとっても、もう冬田を「サイボーグ」とは呼べそうにない。
「チッ……」