冷たいアイツの食べ方 (短)
「冷、こっち見ろよ」
「な……!?」
愛の告白が終わっても、私を離さない坊っちゃま。すごい力に即敗北した私は、混乱する頭で次の作戦を練る。
「私は冷ではありません。冷たい愛と書いて冷愛(れあ)です。あなたの愛する“冷”は、もうここにはいません。残念でしたね!」
「じゃあ冷愛、こっち向け」
「はぁ!?」
もはや誰でもいいんかい!
呆れても物も言えなくなり、坊っちゃまを華麗にスルーした。すると目に入るのは、坊っちゃまの朝ごはん。
この部屋には、坊っちゃまと私、そして――溶けかけのアイス。
私がアイスに目をやったのを見た坊っちゃまは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「なぁ、冷たいアイスの食い方、知ってるか?」
「!?」
まさか、まさかじゃないけど……
冷たいアイス=冷たい愛す=冷愛(私)
の事じゃないよね!?