冷たいアイツの食べ方 (短)

名前の通り、常に冷静沈着な態度で、笑うことなんて一切無し。

一時期、メイドの募集をかけたが、なぜかプロレスラー並の女しか応募してこず、どうしようか頭を悩ませていた。

が、面接当日という、もはや道場破りのような登場の仕方で、この女は現れたらしい。メイド長が言うには、面接者の誰よりも小さく、誰よりも弱く見えたとのこと。

が――だ。

メイド長も疲れていたんだろう。この冬田、全くと言っていいほど「弱く」ない。小さいのはその通りだが、存在感のデカさは、この屋敷以上だ。


「坊っちゃま、早く支度を」

「チッ、うぜぇ」

「無駄な二酸化炭素を出さないでください。地球が可哀想です」


……おい。
じゃあ、眠たい目を擦ってるのに、「早く準備しろ」とビームのような目線を送られてる俺は可哀想じゃないって事かよ?
< 5 / 14 >

この作品をシェア

pagetop