冷たいアイツの食べ方 (短)
俺は結構な強面で、且つ目つきが悪いのもあって、屋敷の中では、使用人たちから距離を取られやすい。
通ってる高校だと多少マイルドに振舞ってるから、女子たちからの人気は衰えない。が、屋敷内だと俺を見る目は、ガラッと変わる。
黄色い歓声から、つんざく悲鳴へ。
学校みたいに取り繕うのが面倒なだけで、俺はただ普通に接してるだけなのに、使用人たちは、まるで俺を般若扱いだ。
もちろん、辞めるメイドは後を絶たない。特に、俺の世話係なんてなった日には……3日ももたない。
「あ、明日は1日ですか。メイドとして働き初めて一ヶ月記念日です」
「今なんて?」
3日ともたないのがセオリーなのに、この道場破りは、どこまで型破りなのか。なんと一ヶ月も、俺の横で小言を言っているらしい。