「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
もちろん、その提案を聞いたエドヴィン王子は首を傾げた。
「何故わざわざ、そんなことをしなくてはいけないのだ?俺が令嬢を口説くのではダメなのか?」
「無理です」
ニーナはキッパリ即答してから、こう言葉を続けた。
「先ほどもお伝えしましたが、アレクサンドラ様と王子が結婚されるものと、本気で信じておられます」
「だからそれは一体何故なのだ」
「バランスの問題だ、と聞いております」
「ば……え……?」
エドヴィン王子が混乱しても何ら不思議はないな、とニーナは同情すらした。
ただ、その経緯をいちいち説明するのは、とても面倒だと思ったニーナは、要点だけ話すことに決めた。
「と、言うことで、どちらにしてもうちのお嬢様が、簡単に王子に嫁ぐ事を了承するとは思えません」
「そ、それではどうすればいいと言うのか」
「……王命という形で命令するのが最も簡単かと思いますが」
「そ、それだと無理強いしてることになる!嫌われるかもしれないだろう」
ああ、そこら辺の感覚はわかるんだな、と、ニーナは内心次の君主に対して偉そうに思ってしまった。
そんな不敬な事を思っても、顔に出ない自分のポーカーフェイスっぷりに、ニーナは感謝をした。
「であれば……餌を撒いて獲物を引っ張り出して、首根っこ捕まえてしまうのが良いですね」
「な、何……?」
「ああ失礼しました」
ニヤリと怪しい笑みを浮かべながら、ニーナは言葉を続けた。
「お嬢様を引っ張り出す、とっておきの餌があるので、それをばら撒いておびき寄せるんです」
「餌……それはケーキとかチョコレートを用意すればいいのか?」
そんなものは、アレを誘き出すのに何の役にも立たない。
「アレクサンドラ様とエトヴィン様が横に並んで立っていれば良いのです」
「そ、そんなことでいいのか?」
「それが良いそうです」
「何故だ。俺は、令嬢が他の男が横に並んでいるのを見たらショックで倒れそうだぞ」
そこは「ひき剥がす」とか「攫う」とか言えよヘタレが、とニーナは本気で思ったが、顔に出ない以下略。
「まあ、そういうわけなので、アレクサンドラ様も、うちのお嬢様も同じ空間に呼び寄せて、なおかつその場で婚約者として無理やり任命するためには、そういう催しをすれば良いのです」
「そ、それが婚約者試験、ということか」
「はい。あ、もちろん他の令嬢も呼んでくださいね。多くの令嬢の中の1人、と思わない限り、うちのお嬢様はきっとこう言うでしょうから」
「な、何と言う……?」
ニーナは、咳払いをしてから、リーゼの声真似でこう言った。
「ええー!私が行かなければ、エドヴィン様とアレクサンドラ様の婚約が確定して結婚式が開かれるのね!素敵だわ!私はお二人の愛のキューピットになれるのねえええええ!」
我ながら似てるな、とニーナは思いながら、顔を青ざめているエドヴィン王子を眺めた。
「そ、そんな馬鹿なことが」
「あるのが、うちの令嬢です。残念ながら」
「な、何とかならないのか……。よりにもよって、あのアレクサンドラと婚約者だと勘違いされるなんて俺は耐えられない」
「その理由はあえてここでは聞かないようにします。そう言うわけなので、うちのお嬢様の逃げ道を防いだ上で餌を撒き、ひょこひょこ現れたらとっ捕まえるのが無難です。そう言う意味でも、強制力もある婚約者試験をするのが、最適解ではないかと」
「な、なるほど?」
エドヴィン王子は、ニーナが適当に並べ立てた理由について疑問がたくさん残りながらも、片思いしているリーゼを公式に婚約者にできるかも、と言う欲望の方が優った。
こうしてリーゼを婚約者にするためだけに開かれた婚約者試験の招待状が、ようやく届いたと言うわけだ。
そんなわけで、次はニーナのターン。
どうにかして、この婚約者試験にリーゼを連れて行かなくてはいけない。
ニーナの、不労所得生活のためにも。
「何故わざわざ、そんなことをしなくてはいけないのだ?俺が令嬢を口説くのではダメなのか?」
「無理です」
ニーナはキッパリ即答してから、こう言葉を続けた。
「先ほどもお伝えしましたが、アレクサンドラ様と王子が結婚されるものと、本気で信じておられます」
「だからそれは一体何故なのだ」
「バランスの問題だ、と聞いております」
「ば……え……?」
エドヴィン王子が混乱しても何ら不思議はないな、とニーナは同情すらした。
ただ、その経緯をいちいち説明するのは、とても面倒だと思ったニーナは、要点だけ話すことに決めた。
「と、言うことで、どちらにしてもうちのお嬢様が、簡単に王子に嫁ぐ事を了承するとは思えません」
「そ、それではどうすればいいと言うのか」
「……王命という形で命令するのが最も簡単かと思いますが」
「そ、それだと無理強いしてることになる!嫌われるかもしれないだろう」
ああ、そこら辺の感覚はわかるんだな、と、ニーナは内心次の君主に対して偉そうに思ってしまった。
そんな不敬な事を思っても、顔に出ない自分のポーカーフェイスっぷりに、ニーナは感謝をした。
「であれば……餌を撒いて獲物を引っ張り出して、首根っこ捕まえてしまうのが良いですね」
「な、何……?」
「ああ失礼しました」
ニヤリと怪しい笑みを浮かべながら、ニーナは言葉を続けた。
「お嬢様を引っ張り出す、とっておきの餌があるので、それをばら撒いておびき寄せるんです」
「餌……それはケーキとかチョコレートを用意すればいいのか?」
そんなものは、アレを誘き出すのに何の役にも立たない。
「アレクサンドラ様とエトヴィン様が横に並んで立っていれば良いのです」
「そ、そんなことでいいのか?」
「それが良いそうです」
「何故だ。俺は、令嬢が他の男が横に並んでいるのを見たらショックで倒れそうだぞ」
そこは「ひき剥がす」とか「攫う」とか言えよヘタレが、とニーナは本気で思ったが、顔に出ない以下略。
「まあ、そういうわけなので、アレクサンドラ様も、うちのお嬢様も同じ空間に呼び寄せて、なおかつその場で婚約者として無理やり任命するためには、そういう催しをすれば良いのです」
「そ、それが婚約者試験、ということか」
「はい。あ、もちろん他の令嬢も呼んでくださいね。多くの令嬢の中の1人、と思わない限り、うちのお嬢様はきっとこう言うでしょうから」
「な、何と言う……?」
ニーナは、咳払いをしてから、リーゼの声真似でこう言った。
「ええー!私が行かなければ、エドヴィン様とアレクサンドラ様の婚約が確定して結婚式が開かれるのね!素敵だわ!私はお二人の愛のキューピットになれるのねえええええ!」
我ながら似てるな、とニーナは思いながら、顔を青ざめているエドヴィン王子を眺めた。
「そ、そんな馬鹿なことが」
「あるのが、うちの令嬢です。残念ながら」
「な、何とかならないのか……。よりにもよって、あのアレクサンドラと婚約者だと勘違いされるなんて俺は耐えられない」
「その理由はあえてここでは聞かないようにします。そう言うわけなので、うちのお嬢様の逃げ道を防いだ上で餌を撒き、ひょこひょこ現れたらとっ捕まえるのが無難です。そう言う意味でも、強制力もある婚約者試験をするのが、最適解ではないかと」
「な、なるほど?」
エドヴィン王子は、ニーナが適当に並べ立てた理由について疑問がたくさん残りながらも、片思いしているリーゼを公式に婚約者にできるかも、と言う欲望の方が優った。
こうしてリーゼを婚約者にするためだけに開かれた婚約者試験の招待状が、ようやく届いたと言うわけだ。
そんなわけで、次はニーナのターン。
どうにかして、この婚約者試験にリーゼを連れて行かなくてはいけない。
ニーナの、不労所得生活のためにも。