「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
エドヴィン王子にとって、最初の数十分は公務をしているかのような時間だった。
本当であれば、リーゼと少しでも早く言葉を交わしたいところだった。
だが、早い時間で組んでさっさと終わらせなくてはいけないくらいだったら、最後にすることで少しでも多く会話したいとエドヴィン王子は考え、順番を独断で決めた。
もちろん、元々エドヴィン王子の婚約者にアレクサンドラを推す声も決して少なくはなかったし、数名程はこの試験を通じて、よりアレクサンドラの方が王妃の資質があると見極める気満々だった。
それでも、元々のエドヴィン王子のリーゼへの熱量と、今日のリーゼの圧倒的パフォーマンスのおかげもあったのか、風向きが変わった。
「あのブラウニー家の令嬢、悪くないんじゃないか?」
「ちょっと変わったところもあるけれど、知識は豊富だし、他の令嬢に比べて自我が強すぎることはなさそうだ」
このように、リーゼを婚約者に推す声も少しで始めていたのだ。
うんうん、とその話をこっそり聞いていたエドヴィン王子は、自分の女を見る目を内心自画自賛してもいた。
そんな中での、最終面接。
気合いも入るが、エドヴィン王子にとっては「浮かれ案件」そのものでもあるのだ。
というのも。
実はエドヴィン王子は、直接1分以上会話するのは数年ぶりなのだ。
特に舞踏会では、いつも、リーゼは家族に連れられて挨拶をするだけしか、エドヴィンとは会話をしてくれず、その後何故か探しても見つからなかった。
そういう、枯渇感が、エドヴィン王子のリーゼへの想いをより募らせる原因になったのは、言うまでもない。
そんなわけで……最終面接は、王妃になる資質を見極めるための、決められた質問もあったが、エドヴィンとしては正直そんなものはどうでもよく、ただただリーゼとの、1分以上の会話を楽しみたかった。
今日何を食べた?とか、昨日どんな本を読んだの?とか。
できれば、自分のことを男としてどう思っているのか、も聞けたら嬉しい。
他の令嬢との面接の時は、質問は全て他の侍従に任せっぱなしにして、そんな妄想ばかりを繰り広げていたせいで、リーゼの直前に面接をしたアレクサンドラからは
「そんなゆるんだ顔で令嬢の前に出たら、一気に嫌われてしまうかもしれないわよ」
と、忠告されてしまう程だった。
「いけない……」
アレクサンドラが立ち去り、リーゼが呼ばれてくるまでの5分もの間に、エドヴィンは、珍しく何度も鏡を見て、髪型と服装を整えた。実に5回も。
そのため、リーゼが現れ、少し距離が離れているとはいえ、自分の目の前に座り、かつ目を合わせられる幸せを、エドヴィン王子は内心でものすごーく噛み締めていた。
王子としてだけでなく男としての威厳を保つため、少しでもイケメン風に映るように、表情を作ったところで
「早速だけど、いくつか質問いいかな?」
と、質問をしようとした侍従をすっかり無視して、リーゼの面接を始めたのだ。
その数秒後に、地獄の「アレクサンドラとの推しカプ」の演説を聞かされるなんて夢にも思わずに。
本当であれば、リーゼと少しでも早く言葉を交わしたいところだった。
だが、早い時間で組んでさっさと終わらせなくてはいけないくらいだったら、最後にすることで少しでも多く会話したいとエドヴィン王子は考え、順番を独断で決めた。
もちろん、元々エドヴィン王子の婚約者にアレクサンドラを推す声も決して少なくはなかったし、数名程はこの試験を通じて、よりアレクサンドラの方が王妃の資質があると見極める気満々だった。
それでも、元々のエドヴィン王子のリーゼへの熱量と、今日のリーゼの圧倒的パフォーマンスのおかげもあったのか、風向きが変わった。
「あのブラウニー家の令嬢、悪くないんじゃないか?」
「ちょっと変わったところもあるけれど、知識は豊富だし、他の令嬢に比べて自我が強すぎることはなさそうだ」
このように、リーゼを婚約者に推す声も少しで始めていたのだ。
うんうん、とその話をこっそり聞いていたエドヴィン王子は、自分の女を見る目を内心自画自賛してもいた。
そんな中での、最終面接。
気合いも入るが、エドヴィン王子にとっては「浮かれ案件」そのものでもあるのだ。
というのも。
実はエドヴィン王子は、直接1分以上会話するのは数年ぶりなのだ。
特に舞踏会では、いつも、リーゼは家族に連れられて挨拶をするだけしか、エドヴィンとは会話をしてくれず、その後何故か探しても見つからなかった。
そういう、枯渇感が、エドヴィン王子のリーゼへの想いをより募らせる原因になったのは、言うまでもない。
そんなわけで……最終面接は、王妃になる資質を見極めるための、決められた質問もあったが、エドヴィンとしては正直そんなものはどうでもよく、ただただリーゼとの、1分以上の会話を楽しみたかった。
今日何を食べた?とか、昨日どんな本を読んだの?とか。
できれば、自分のことを男としてどう思っているのか、も聞けたら嬉しい。
他の令嬢との面接の時は、質問は全て他の侍従に任せっぱなしにして、そんな妄想ばかりを繰り広げていたせいで、リーゼの直前に面接をしたアレクサンドラからは
「そんなゆるんだ顔で令嬢の前に出たら、一気に嫌われてしまうかもしれないわよ」
と、忠告されてしまう程だった。
「いけない……」
アレクサンドラが立ち去り、リーゼが呼ばれてくるまでの5分もの間に、エドヴィンは、珍しく何度も鏡を見て、髪型と服装を整えた。実に5回も。
そのため、リーゼが現れ、少し距離が離れているとはいえ、自分の目の前に座り、かつ目を合わせられる幸せを、エドヴィン王子は内心でものすごーく噛み締めていた。
王子としてだけでなく男としての威厳を保つため、少しでもイケメン風に映るように、表情を作ったところで
「早速だけど、いくつか質問いいかな?」
と、質問をしようとした侍従をすっかり無視して、リーゼの面接を始めたのだ。
その数秒後に、地獄の「アレクサンドラとの推しカプ」の演説を聞かされるなんて夢にも思わずに。