「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
「それで、私が呼ばれたという訳ですか、エドヴィン王子」
「あら、とても有能そうな子。あなたのような子は好きよ、私」
「やめてください、そんなことうちのリーゼ様に聞かれたら、発狂されます私」
リーゼの付き添いとして来ていたニーナを、あれこれ言い訳をつけて呼び出したエドヴィン王子は、アレクサンドラと引き合わせをした。
普通のメイドであれば、アレクサンドラの神々しさに一歩引くところだったが、ニーナは恐る様子を一切見せなかった。
それが、アレクサンドラの面白レーダーに引っかかったらしい。
「ぜひ、うちのメイドにならない?」
とアレクサンドラはニーナを誘ったが、秒でニーナは断った。
「1週間の婚約者試験延長戦ですか……」
「ああ。ここで彼女を堕とさなければ、後がない気がするのだが」
「あなたなら、その1週間でどうすれば、リーゼ様がそこの顔だけのヘタレに心惹かれるかわかるんじゃなくて?メイドならば、主人のことは朝の目覚めから夜の眠りまで知っているのが普通ですもの」
「…………はぁ…………」
確かに、ニーナは知っている。
朝から晩まで、ただひたすら「推し!好き!!」と言いながらエドヴィン王子とアレクサンドラを妄想した、ちょっとえっちい本の執筆をしていることは。
ただ、それは名誉のために言わなかった。一応、まだ今の職を失いたくなかったから。
「あの…………私が聞くのも変な話かもしれませんが……お二人は本当に、何もないのですか?」
「「あってたまるか」」
息がぴったり合った、即答だった。
「こんな、人の弱みを突き回すようなどSな女は、こっちから願い下げだ」
「あら、私の方こそ、たかが女ひとり口説くこともできず、ぐじぐじと泣いている男と恋なんて、死んでもごめんだわ」
今の会話を聞いたら、リーゼは何て言うのだろうかと、ニーナはふと考えてみた。
でも、あのリーゼのことだ。
「喧嘩しているのに息がぴったりだなんて、運命の相手としか思えない!」
と発言するだろうことは、ニーナには簡単に想像ついた。
だが、ニーナがこれから不労所得で生活という夢を叶えるかどうかも、この1週間にかかっているということになる。
「それで、私は一体何をすれば……?」
ニーナが尋ねると、アレクサンドラがこう言った。
「リーゼ様が、このヘタレに惚れるように仕向けて欲しいのよ。できれば、寝室で共寝してもいいと思わせられるくらいに」
「それは無理だと思います」
ニーナは再び即答した。
それは、主人の性癖をこの世の誰よりもよーく知っているから。
「あら、とても有能そうな子。あなたのような子は好きよ、私」
「やめてください、そんなことうちのリーゼ様に聞かれたら、発狂されます私」
リーゼの付き添いとして来ていたニーナを、あれこれ言い訳をつけて呼び出したエドヴィン王子は、アレクサンドラと引き合わせをした。
普通のメイドであれば、アレクサンドラの神々しさに一歩引くところだったが、ニーナは恐る様子を一切見せなかった。
それが、アレクサンドラの面白レーダーに引っかかったらしい。
「ぜひ、うちのメイドにならない?」
とアレクサンドラはニーナを誘ったが、秒でニーナは断った。
「1週間の婚約者試験延長戦ですか……」
「ああ。ここで彼女を堕とさなければ、後がない気がするのだが」
「あなたなら、その1週間でどうすれば、リーゼ様がそこの顔だけのヘタレに心惹かれるかわかるんじゃなくて?メイドならば、主人のことは朝の目覚めから夜の眠りまで知っているのが普通ですもの」
「…………はぁ…………」
確かに、ニーナは知っている。
朝から晩まで、ただひたすら「推し!好き!!」と言いながらエドヴィン王子とアレクサンドラを妄想した、ちょっとえっちい本の執筆をしていることは。
ただ、それは名誉のために言わなかった。一応、まだ今の職を失いたくなかったから。
「あの…………私が聞くのも変な話かもしれませんが……お二人は本当に、何もないのですか?」
「「あってたまるか」」
息がぴったり合った、即答だった。
「こんな、人の弱みを突き回すようなどSな女は、こっちから願い下げだ」
「あら、私の方こそ、たかが女ひとり口説くこともできず、ぐじぐじと泣いている男と恋なんて、死んでもごめんだわ」
今の会話を聞いたら、リーゼは何て言うのだろうかと、ニーナはふと考えてみた。
でも、あのリーゼのことだ。
「喧嘩しているのに息がぴったりだなんて、運命の相手としか思えない!」
と発言するだろうことは、ニーナには簡単に想像ついた。
だが、ニーナがこれから不労所得で生活という夢を叶えるかどうかも、この1週間にかかっているということになる。
「それで、私は一体何をすれば……?」
ニーナが尋ねると、アレクサンドラがこう言った。
「リーゼ様が、このヘタレに惚れるように仕向けて欲しいのよ。できれば、寝室で共寝してもいいと思わせられるくらいに」
「それは無理だと思います」
ニーナは再び即答した。
それは、主人の性癖をこの世の誰よりもよーく知っているから。