「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
ニーナもリーゼの付き合いで、何度もアレクサンドラの生顔は眺めたことはある。
ついでにその後、リーゼによるリーゼのためだけのアレクサンドラの顔をひたすら褒め称える会の唯一の客にもなったし、リーゼが大量にこさえたアレクサンドラの顔を描いた絵画も、脳内ではしっかり再現できるほど、アレクサンドラの顔情報についてニーナは叩き込まれていた。
例えば、アレクサンドラがもっとも美しく見える角度は、斜め35度に少し顔を傾けた時という、誰得だよという情報すら、ニーナは知っている。
そんなニーナですら、アレクサンドラの「これ以上ベストな提案ないでしょ?」と言いたげなドヤ顔は今までで1番美しいと思う、と同時にものすごくしっくり来てしまった。
……ああそうか。このお方の本性はこれなんだ。
純粋無垢、それでいて気高く女神のような存在だ、とアレクサンドラを日々崇め奉ってるリーゼに聞かせてやったらどんな表情をするのだろうか、とニーナは考えた。が、しょんぼりしたリスのような表情を見せるリーゼを想像した瞬間、ニーナは自分の心の中に止めておくことに決めた。
ニーナはなんだかんだで、リーゼの変態的な笑顔を見るのが好きだったから。
だからこそ、ニーナはアレクサンドラの提案には賛成できなかった。
「強制的に男女の関係にさせるということは、強姦をするようなものではないかと」
「ご、強姦だと!?俺が彼女にそんな酷い真似できるわけないだろう」
良かった。一般常識くらいは身につけているようだ。
リーゼを婚約者にしたいと言った時に、この男の頭の中は大丈夫なのか、と本気で心配したニーナだったが、エドヴィン王子も反対したので、ニーナの中では1ポイントだけエドヴィン王子にあげることにした。
なんのポイントかは、もちろんリーゼの婿候補として、である。
「あら、子供を作る行為を無理矢理にするか、それともお互いの愛ある行為として神聖なものにするかはすーべーてーあなた、エドヴィンヘタレ殿下様の手腕にかかってるのでは?」
あーヘタレって言われてるよこの王子は。
ニーナは、ちょっと同情した。
「大体、恋愛というものは一夜できちんと盛り上げることができましたら、その日のうちにベッドインしてあっという間に身籠り……というのもよくある話ですのよ」
いや、よくはないぞ、とニーナは思った。
むしろそのパターンは……。
「あ、あのアレクサンドラ様。大変失礼なことをお聞きしますが…………」
「何かしら?」
「もしかして、愛読書の中に『蜜愛文庫』の小説とかあったり……なかったり……?」
アレクサンドラは無表情のまま黙ってしまった。
失言した、とニーナは内心焦った。
「す、すみません聞いたこともないようなマイナー出版社の本なんか読むわけ」
「もしかして、あなたもファンなの!?」
「え?」
アレクサンドラに手をがしっと掴まれてしまったニーナ。
冷酷そうに見える表情からは信じられないほど、掴まれた手から熱が伝わった。
ついでにその後、リーゼによるリーゼのためだけのアレクサンドラの顔をひたすら褒め称える会の唯一の客にもなったし、リーゼが大量にこさえたアレクサンドラの顔を描いた絵画も、脳内ではしっかり再現できるほど、アレクサンドラの顔情報についてニーナは叩き込まれていた。
例えば、アレクサンドラがもっとも美しく見える角度は、斜め35度に少し顔を傾けた時という、誰得だよという情報すら、ニーナは知っている。
そんなニーナですら、アレクサンドラの「これ以上ベストな提案ないでしょ?」と言いたげなドヤ顔は今までで1番美しいと思う、と同時にものすごくしっくり来てしまった。
……ああそうか。このお方の本性はこれなんだ。
純粋無垢、それでいて気高く女神のような存在だ、とアレクサンドラを日々崇め奉ってるリーゼに聞かせてやったらどんな表情をするのだろうか、とニーナは考えた。が、しょんぼりしたリスのような表情を見せるリーゼを想像した瞬間、ニーナは自分の心の中に止めておくことに決めた。
ニーナはなんだかんだで、リーゼの変態的な笑顔を見るのが好きだったから。
だからこそ、ニーナはアレクサンドラの提案には賛成できなかった。
「強制的に男女の関係にさせるということは、強姦をするようなものではないかと」
「ご、強姦だと!?俺が彼女にそんな酷い真似できるわけないだろう」
良かった。一般常識くらいは身につけているようだ。
リーゼを婚約者にしたいと言った時に、この男の頭の中は大丈夫なのか、と本気で心配したニーナだったが、エドヴィン王子も反対したので、ニーナの中では1ポイントだけエドヴィン王子にあげることにした。
なんのポイントかは、もちろんリーゼの婿候補として、である。
「あら、子供を作る行為を無理矢理にするか、それともお互いの愛ある行為として神聖なものにするかはすーべーてーあなた、エドヴィンヘタレ殿下様の手腕にかかってるのでは?」
あーヘタレって言われてるよこの王子は。
ニーナは、ちょっと同情した。
「大体、恋愛というものは一夜できちんと盛り上げることができましたら、その日のうちにベッドインしてあっという間に身籠り……というのもよくある話ですのよ」
いや、よくはないぞ、とニーナは思った。
むしろそのパターンは……。
「あ、あのアレクサンドラ様。大変失礼なことをお聞きしますが…………」
「何かしら?」
「もしかして、愛読書の中に『蜜愛文庫』の小説とかあったり……なかったり……?」
アレクサンドラは無表情のまま黙ってしまった。
失言した、とニーナは内心焦った。
「す、すみません聞いたこともないようなマイナー出版社の本なんか読むわけ」
「もしかして、あなたもファンなの!?」
「え?」
アレクサンドラに手をがしっと掴まれてしまったニーナ。
冷酷そうに見える表情からは信じられないほど、掴まれた手から熱が伝わった。