「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

　ついに、リーゼとの距離を大体幅２mまで縮められた！
　エドヴィン王子は、最後にダイニングにやってきてすぐ、いつも食事をしている時に使用している席に座りながら、感無量になっていた。
　眼鏡はかけているものの、この時のリーゼの姿は、エドヴィン王子が一目惚れした時とほぼ同じ、妖精さんのような愛らしいドレス姿だったこともあり、エドヴィン王子のテンションはぶち上がっていた。

「リーゼ殿」
「は、はははい！」

　可愛い。
　自分が声をかけるだけで、顔を真っ赤にして反応してくれるのが、愛らしくてたまらない。

「何か、嫌いなものはないか？」
「いえ、大丈夫です！」
「そうか。それならば、ディナーを始めようか」

　エドヴィン王子は、アレクサンドラと目を合わせ、お互い頷き合ってから、今度は侍従に合図をした。
　ここから始まるのは、エドヴィン王子が考えた作戦……名付けて

「美味しいディナーで餌付けして、お城で毎日ご飯を食べたいと言わせよう！」

　作戦。目的は明白。
　まず、リーゼに城のご飯が美味しすぎてたまらないと思わせる。
　次に、あの手この手で会話を誘導して「毎日でも食べたいです！」とリーゼに言わせる。
　そのタイミングでエドヴィン王子が

「では、俺の婚約者になれば食べられるぞ」

　と誘う。
　食欲で釣るという、信じられないほどシンプルな作戦ではあるが、エドヴィン王子には自信があった。
　なぜなら、城にいるのは選りすぐりのシェフやパティシエであり、ニーナという強力な協力者からも、リーゼの好みの情報は得ていたのだから。
　この2つが揃えば鬼に金棒。
　それくらいエドヴィン王子は、城のディナーの味に自信があった。
　さて、その結果は……。