「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
「こんなところで何をしてるんだ!?」
「見てお分かりにならない?」
「分かってたまるか! お前たち2人が、この喫茶店のウェイトレスの格好をしてニヤついて俺を見ている理由なんて」
「あら、似合ってません? 庶民のお洋服の割に、いい感じだと思うのだけど」
「論点が違う!」
アレクサンドラとエドヴィン王子の言い争いをそのまま舞台にしたら、コメディとして金が取れるんじゃないかと考えながら、ニーナは自分に面倒が降ってきませんようにと祈りながら茶を啜った。
ついでに、側で申し訳なさそうに控えてくれてる、本物のウェイトレスに
「これ、どこの茶葉ですか?あとお茶の淹れ方教えてくれます?」
と、声をかけた。
ちなみに、ウェイトレスも含めて4人が今いるのは、喫茶店の2階部分に併設されたバルコニー。
あのままのノリで1階で話し始めたら、確実に顔だけはこの国の誰よりも美しい2人が罵倒し合う声がリーゼに聞こえてしまうだろうと、ウェイトレスが配慮して連れてきてくれた。
ニーナは、この出来すぎるウェイトレスの仕事に、ただただ感動した。
一方で……。
「あの、よろしいですか?」
ニーナは、一通り欲しい知識をウェイトレスから全部聞き出したタイミングで2人の間に割って入った。
「「何!? 邪魔しないで!!」」
「何の話になってるのかはこの際どうでもいいんですけど、ねえ……殿下」
「な、何だ……ニーナよ……」
「今回の作戦名、声を大にして言ってもらっていいですか?」
「そ、そんなことしたらリーゼ嬢に聞こえ」
「ませんから。そんなんで聞こえてたら、とうの昔に聞こえてましたから。ねえ、そうですよね」
ニーナがウェイトレスに同意を求めるように振り向くと、ウェイトレスはこくこくと頷きながら
「はい。ここの声が1階に漏れることはありません」
と言った。
「と言うわけで、ほら、殿下。言ってみてください」
「…………ああ、殿下ってこんなに男として頼もしいお方ですのね……」
「聞こえない」
「ああ!殿下ってこんなに男として」
「聞こえない!!」
「あああ!!!殿下ってえええええ!こんなにいいい!!!…………」
もはや何のいじめだ、とウェイトレスは1人察した。
ニーナの表情が、どことなく、かつて自分をいじめていた前の先輩ウェイトレスの顔に似ていたことだけは印象深かったので、絶対にこいつに逆らうものか、とウェイトレスは1人勝手に決意した。
「見てお分かりにならない?」
「分かってたまるか! お前たち2人が、この喫茶店のウェイトレスの格好をしてニヤついて俺を見ている理由なんて」
「あら、似合ってません? 庶民のお洋服の割に、いい感じだと思うのだけど」
「論点が違う!」
アレクサンドラとエドヴィン王子の言い争いをそのまま舞台にしたら、コメディとして金が取れるんじゃないかと考えながら、ニーナは自分に面倒が降ってきませんようにと祈りながら茶を啜った。
ついでに、側で申し訳なさそうに控えてくれてる、本物のウェイトレスに
「これ、どこの茶葉ですか?あとお茶の淹れ方教えてくれます?」
と、声をかけた。
ちなみに、ウェイトレスも含めて4人が今いるのは、喫茶店の2階部分に併設されたバルコニー。
あのままのノリで1階で話し始めたら、確実に顔だけはこの国の誰よりも美しい2人が罵倒し合う声がリーゼに聞こえてしまうだろうと、ウェイトレスが配慮して連れてきてくれた。
ニーナは、この出来すぎるウェイトレスの仕事に、ただただ感動した。
一方で……。
「あの、よろしいですか?」
ニーナは、一通り欲しい知識をウェイトレスから全部聞き出したタイミングで2人の間に割って入った。
「「何!? 邪魔しないで!!」」
「何の話になってるのかはこの際どうでもいいんですけど、ねえ……殿下」
「な、何だ……ニーナよ……」
「今回の作戦名、声を大にして言ってもらっていいですか?」
「そ、そんなことしたらリーゼ嬢に聞こえ」
「ませんから。そんなんで聞こえてたら、とうの昔に聞こえてましたから。ねえ、そうですよね」
ニーナがウェイトレスに同意を求めるように振り向くと、ウェイトレスはこくこくと頷きながら
「はい。ここの声が1階に漏れることはありません」
と言った。
「と言うわけで、ほら、殿下。言ってみてください」
「…………ああ、殿下ってこんなに男として頼もしいお方ですのね……」
「聞こえない」
「ああ!殿下ってこんなに男として」
「聞こえない!!」
「あああ!!!殿下ってえええええ!こんなにいいい!!!…………」
もはや何のいじめだ、とウェイトレスは1人察した。
ニーナの表情が、どことなく、かつて自分をいじめていた前の先輩ウェイトレスの顔に似ていたことだけは印象深かったので、絶対にこいつに逆らうものか、とウェイトレスは1人勝手に決意した。