「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました
「こ、これでどうだ!ニーナ!」
「はい!大声で言ったところで殿下。…………今の殿下は、頼もしいお方として女が頼りたいと思う男になれてますか!?」
「そ、それは…………」

 ここまできて、ようやくエドヴィン王子はニーナが言いたいことを理解した。

「た、頼もしいと思ってもらえるのか…………自信はない」
「自信どころか、皆無です皆無。リーゼ様をちゃんとご覧になりましたか?」
「ど、どういう意味だ」
「…………リーゼ様はですね、お一人遊びが非常に得意なんですの」

 それが派生した結果の、裁縫、絵画、小説諸々の趣味なわけだが。

「それが?」
「それが、じゃないんです。いいですか。よーくリーゼ様を思い出してください。どうです?」
「…………とても可愛い」
「じゃーなーくーてー!!目!キラキラしてませんでした!?」
「ああ!してたしてた。どの宝石よりも綺麗だと思った」

 それを聞いたニーナは、わかりやすくため息をついた。

「な、何なの?ニーナ。そのため息は」
「残念です、アレクサンドラ様」
「え?どういうことなの?」
「…………暴走馬車リーゼ様になってしまえば最後、眠るまで止まりません」
「「…………ぼ、暴走…………???」」
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