アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
「それって……。なんか、子どもを育ててるみたいですね」
ブハッ!!
三島さんの一言に、私は盛大にコーヒーを噴いて咳き込んだ。
「ちょ、大丈夫ですか、チーフ!」
言いながら背中をさすってくれるが、誰のせいよ、誰の!
◇
はぁー……今日はもう、心を乱されっぱなしだった……。
三島さんに言われて、郡山くんと顔を合わせるのが気まずくなってしまった。鉢合わせしないように、慌てて定時で会社を出てきた。
そういえば、あの花って、咲いたらリラックスできるって書いてあったわよね。早く咲いて、この心を鎮めてほしい……。
家に着いて、疲れた足をほぐすため、洗濯カゴにストッキングを脱ぎ捨てた。
自由になった素足で軽やかに歩き、それからリビングの扉を開けてようやくおひとり様の解放感を味わうのが、いつもの流れ──だったのだが。
リビングの窓際に、誰か、立っていた。
私はその姿を見て、ショックで鞄を落とした。
「…………ケイ?」
交通事故で死んだはずの夫の名を、口にしていた。