アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした

 ようやく、現実に戻ってきた気がする。
 夫に兄弟はいないはずだし、それに何より、どうやって入ったの!?
 取り乱す私とは逆に、彼はいたって冷静だった。

「……あ! すみません! 初めまして、ですね!」
「そういうことじゃなくて!」

 初めましてのあなたが、私の家に入り込んでいることが問題なのーー!!

「俺は、結衣子さんに育てていただいた種ですよ」

 …………は?

 もう、わけがわからなくてフラフラするのを、ぐっと堪えた。
 種? そういえば、芽が出てたわね。
 って、その場所は、植木鉢が置いてあったところ!

 距離を保ちながら、慌てて植木鉢を確認した。
 すると、彼の足がすっぽりと土の中に収まっていたのだ。

「はああああああああっ!? どういうこと!?!?」
「育ててくれてありがとうございます」
「嫁に行く娘みたいなこと言わないで!?」

 しかも夫の声で!!
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